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☆ 言葉という土台

論理的思考能力と自己管理能力という二つの力が大切なのは、それがあらゆる学力の基礎であり、 根本に位置しているからです。学力を延ばす上での秘訣は一つしかありません。基礎を徹底させ ることです。このあたり前のことをあたり前にこなせば、成果は自然に現れてくるでしょう。で は、論理的思考能力と自己管理能力を身につけるのに最適な方法は何でしょうか。何事において も基礎や土台が大切であるのなら、おそらくその答えは、この二つの力のさらに土台となっている ものにあるはずです。それこそが、国語なのです。なぜなら私たちの思考は言葉によって成り立っ ているからであり、私たちが日本語を母国語とする以上は、思考力の本質は日本語を扱う力にあるからです。 実に多くの人によって誤解されていることですが、国語とは、単なる一つの学科、それもあまり熱 心に勉強する必要のない一学科ではありません。それは全ての学問の土台です。英語や科学や歴史 といった他の教科の根本に位置しているのは国語力なのです。たとえば、国際化によって近年ます ますその必要性が叫ばれている英語について考えてみてください。ある程度真剣に英語を勉強された 方なら気づいているはずです、国語力がなければ高度な英語力は決して身につかないと。日本語で 自分の意見を明確に表明できないのに、英語でそうしたことを試みるのが無茶であるのは明白です。 一見遠回りのようであっても、国語をしっかりと学んで日本語で論理的に考える力を身につけることこそが、 あらゆる勉学における最上の方法なのです。学習という行為の根幹にあるのは論理的思考能力と自己管理能力であり 、その土台となるのが、言葉の力です。言葉こそ、論理の根本であり、自覚の原点です。

☆ 読む 書く 考える

国語がいかに大切であるかを、今度は別の面からお話しましょう。どんな科目でもかまいません、 入試で出される具体的な問題を思い浮かべて下さい。正解するためには、どのような過程を経るでしょうか 。まず、その問題が何を意味しているか、出題者に求められていることは何なのかを理解しなければなりま せん。その次に、問題解決の方法を考えることになります。導き出された答えを解答欄に的確に記入するの が、最後の作業です。一つの問題を解くには、決まってこの三つの過程を経る必要があります。だとすると 、問題を解決する力とは、この三つの作業を上手にこなす力だということができます。ではこの三つの作業 とを何なのでしょう。この作業を抽象化して考えたとき、そこに浮かび上がってくるのはどのような行為で しょうか。それは、読む、書く、考えるという誰もが知っている。単純な行為であるはずです。すなわち、問 題の読解は読むことに、解決方法の分析が考えることに、解答の正確な記述が書くことに相当します。あら ゆる問題の解決の過程は、この三点に極まるといって良いでしょう。読む、書く、考える、という三つの行 為にこそ、学問の本質があるのです。そうしてまたこの三つの行為は、単に受験勉強に留まるだけでなく、 社会におけるあらゆる問題解決の過程に共通することです。目の前の問題を正確に見極め、その解決法を考 え、最適な答えを出す。国語を通じて身につく本物の学力は、こうした作業を的確にこなす高度な問題処理能 力でもあるのです。読む、書く、考える。本物の学力とは、この三つの行為を結んで作られる国語という名の 三角形を土台にして築かれるのだということができます。

☆ 私たちの願い

本当に必要なのは論理的思考能力と自己管理能力であり、それには国語教育こそが重要である―。こうした考えから、私たち「東大生の国語教室」では、「読む、書く、考える」ことに徹底してこだわった授業を展開します。たくさん読み、たくさん書き、たくさん考える。深く読み、深く書き、深く考える。このような学習方法を体験することで、受講生の皆さんの根底的な学力が養われ、ひいては国語に限らないあらゆる科目で確かな成果が現れることでしょう。私たちの教育目標は本物の学力を養うことにこそあるので、単に国語に限った成績の向上には重点を置きません。国語は全てに通じる、それが私たちの信念です。私たちの教室での学習が、他の全ての勉強にも好影響を与え、学力の全面的な向上をもたらすよう、生徒一人一人を真摯にサポートしたいと思います。 私たちは、他のどの塾とも異なり、最終的な目標をあえて志望校の合格には定めません。生徒たちに受験で終わってしまうような勉強をさせたくないですし、そうした勉強は結局のところ思うような結果に結びつかない場合が多いからです。目標は、ただ本物の学力を身につけてもらうことです。受験で終わらない根源的な力を養い、ここで学んだことを通じて大学進学後の人生をこそ大いに活躍して欲しい―それが私たちの最大の願いです。それぞれの生徒たちもまた、このような大きな目標をもって学べば、結局はそれが何よりの学習効果をもたらし、受験という人生のささやかな通過過程を、納得できる結果を伴って通り過ぎることができる。私たちはそう確信しています。